実生の飛梅が開花しました。
何年前に発芽したのか、いや、正確にわかるはずもありません。発芽していたものを大切に鉢植えで育ててきたのですから。
飛梅(とびうめ)ってなんでしょう? 梅の品種名ではありません。
当社のご祭神菅原道真公は京で政事に携っている頃、私邸の庭の梅を愛しておりました。京を離れて大宰府の地へ向かうことになったおりにも、「私は遠い大宰府の地へ行くけれども、春の東風が吹いたなら、愛しい香りと共に都の様子を伝えておくれ」という意味の詩を詠みました。その後、大宰府へ赴任した主を慕った梅は、一夜にして道真公のもとへ飛び移りました。今も大宰府天満宮の社殿前で大切に育てられています。
さて、その伝説の飛梅ですが、八重咲きの白梅で実をたくさんつけず、実生がむずかしいので接ぎ木という方法で日本各所の菅原道真公をお祀りする神社に分けられてきました。当社でも北野天満宮よりいただいて、社殿脇で毎年花を咲かせて菅公の御霊をお慰めしています。
当社でも挿し木や野梅との接ぎ木など、毎年試みておりますが、なかなか花をつけるまでにはなっておりません。ところが、この実生の飛梅は見事に二輪の花を咲かせてくれました。