ある冊子に1月14日に開かれた歌会始の儀での天皇皇后両陛下御歌が披露されていました。どれも素晴らしい御歌ですが、中でも感銘を受けたのが皇后陛下の御歌。
おほかたの枯葉は枝に残りつつ今日まんさくの花ひとつ咲く
まんさくの名の由来は、北国の厳しい冬が終わる頃、雪をかぶった枯れたような枝から鮮やかな黄色い花を吹き出し、春の到来をいち早く知らせることから、「先ず咲く」がなまって「まんさく」になったと言われています。当社境内の自宅の庭にまんさくの木があり、毎年二月初旬頃から花を吹き出します。まさに皇后陛下のお詠みになられたように、まんさくは去年の葉を枯れたままたくさんつけて越冬します。
先週、東京では久しぶりの時ならぬ積雪がありましたが、雪が乗っても枯葉は落ちず、私は毎年「この枯葉には何か残る理由があるのだろうか」と不思議に感じていました。皇后陛下の観察力と、短い歌に春の到来の嬉しさを盛り込んだ表現の的確さに感銘させていただいた次第です。すでに当社のまんさくは満開になっています。