梅便り花便り 令和七乙巳年弥生二十六日

桜の開花が報じられ、カリンやコガクウツギの新芽や蕾が吹きだす春、各地で相次ぐ山林火災、花粉に黄砂と、決してうららかな春にうかつに深呼吸もできない。今日はここ町田市は28度という夏日予想。今からこんな気温では、夏は一体どうなるのやら。梅はもう淡い毛に包まれた実ができている。
一般的な赤い椿は藪椿、山椿などの総称。幹、葉、種はそれぞれ有用で、花も天ぷらなどで食べられる優れもの。大船渡も椿が有名。相当な数の椿が灰になってしまったことだろう。山茶花は花びらがハラハラと散るのに対して、椿の散り方は、花が丸ごとひとつ落ちるから、縁起が悪いとして病室には飾らない。我々にとっては、丸ごと落ちる水分の多い花は風に流れにくいから掃除には有難い。椿の足元にあるコガクウツギは若葉を吹きだしたばかりだけれど、落ちた椿の花が乗ってお洒落をしているようにも見える。花梨は若葉と蕾が同時に出てくるが、もう独特な薄紅色の花が、閉じた傘のように巻かれている。

梅便り 令和七乙巳年弥生十八日

まだ私の背丈をようやく超えたくらいの実生の梅。三月に開花する遅咲きで、豊後系の幹で成長が早い。花は一重の小輪で平らに開かず、花弁に少ししわがあり、絞り染のような淡いピンク色が入る。自然交配種だから名前はまだ決めかねているが、「ひなあられ」などが良いかと。

梅便り 令和七乙巳年弥生十三日

豊後が散り始め、楊貴妃が開花すると、境内の梅もいよいよ終わりが近い。
旧社殿脇では、春らしい暖かい雨があがった朝、豊後と楊貴妃の枝が重なって話し合うよう。楊貴妃はその名の由縁か花弁が少し波打つ。もうすぐ桜とバトンタッチ。

梅便り 令和七乙巳年弥生二日

三寒四温の通りか、急なポカポカ陽気も今日で終わり、明日からまた冬に逆戻りのようです。梅も豊後や輪違いの思いのままが咲き始めて、枝垂れ梅が見頃ともなれば春間近。梅だけではなく、ミズキ科の山茱萸(さんしゅゆ)もほころび始めています。