パワースポットブーム考

 そろそろ沈静化するのだろうか。骨董ブームと同じように、若干トーンダウンしてきたかと思われる。スポットがわかるという人物がテレビに登場し、その類の特集が様々な雑誌にに取り上げられ、その波は遂に去年当社にも。境内の掃除中、ある女性が境内の楠の前にじっとしゃがんでいた。そして私を時々見つめる。その周辺だけ避けて掃除をしていた私にその女性は声をかけてきた。言い分はというと、楠の傍らに置いてあるゴミ箱と灰皿をどけてほしいとのこと。つまりちょうどその場所から強い「気」が湧いているということらしい。太い立派な樹木には長い年月をかけてパワーが宿るというのだが・・・。その時はしぶしぶ言われた通りにしてさしあげたが、よくよく考えると楠はすこぶる成長の早い樹木で、今でこそ当社では一番太くなっているが、樹齢は50年そこそこ。私が幼少の頃からあまり太さが変わっていないように見える数本のケヤキのほうが遥かに樹齢は多いし、少なくとも100年以上のはず。成長が早い楠はその分幹が弱く、強風や大雪で長さ10メートルくらいで私の胴回りほどの太さの枝が簡単に折れて落下することもめずらしくなく、悪天候の折には近づくことも危険な弱い木である。そんな木にパワーが宿るとはとても思えない。さらにはその楠の前で1時間以上、白鳥のような舞をしている人なども登場。
 また、研修で出かけたある有名神社では、パワースポットとして御神木が雑誌に載ったため、手をあてて気をいただこうという人がじっと瞑想して常に取り囲み、立派な木をバックにしての写真撮影などはできなくなってしまっていた。奇妙なことだ。
 私はそんなものを感じる特殊能力は持ち合わせていないが、これだけは明確に言える。当社のパワースポットは境内全域であり、最も気が強い所を示せと言われたなら、迷うことなく断言する。
社殿の最も奥の主祭神がいらっしゃる内陣です、と。

七五三祝いの季節です

元来11月15日に行われる祝い事でしたが、今は10月初旬から12月初旬まで参拝があります。お父さんの仕事のスケジュール、田舎の祖父母を招く予定、着付けや美容院や写真店の予約など、いろいろな条件が重なって、なおかつお日柄やお天気も・・・。そして親が悩んだ末に主役が風邪をひいたりして、全てが振り出しというケースもあるようです。家庭の一大イベントですが、神職はそのハイテンションに動じることなく、お祝いのお子さんを穏やかに迎えて、神様の静かで温かい御威徳を伝えるよう努めなければいけませんね。
社殿の前の階段はスロープにして、拝殿も正面から履物のまま入れるようにしました。拝殿の床に養生シート、畳、赤い絨毯を敷いて準備完了。「約2ヶ月間は拝殿に履物であがります。どうかご勘弁ください。」と神様にお願いしました。

七五三シーズンもいよいよ終わりです

今年はどうしたことでしょうか。例年ですと本来の七五三詣の日である15日を境にして、前半は8割、後半はいつも2割程度の参拝数になるのですが、今年は15日過ぎが多いんです。社会情勢などがいろいろ影響しているのでしょうか。

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人の心理とは面白いもので、15日過ぎにしか予定がとれない方が電話で問い合わせしてまいりますと、やはり「お祝い事は早めに」という習慣は知っていて、問い合わせ口調もおそるおそる。当社は特に期限も設けておらず、毎日受け付けていますからいいのですが、いざ15日過ぎの土日などに参拝してみると、今年は特に大勢いらしてますから、おそるおそる問い合わせた方もホットと安心するのでしょうか。いやいや、安心されるだけならよいのですが、「過ぎてもいいんだ」というようには考えていただきたくないですね。本来15日だけの行事だったものが、今は10月初旬から11月15日前後にまで期間が広がり、さらに12月にまで広がったなら・・・。

まー、確かに、すでに本来の日を知らない若夫婦もちらほらおりますから、ここはひとつ、なんらかの働きかけが必要な時期なのかもしれません。日本の良き習慣を守る何かが。

七五三も落ち着いてきました。

七五三詣

今年の七五三も賑やかでした。

境内は小さなお殿様、王子様、お姫様でいっぱい。でも三歳の女の子は受難。かわいい着物で喜んでるのもつかの間、朝から着付け、写真撮影、そしてお祓いを受ける頃にはヘトヘト。着物は鎧のような重さに。すっかり眠くなってお父さんに抱かれて帰る子の手には、しっかりと千歳飴の袋が握られているから、なおさらかわいいし、「頑張ったね」と声をかけたくなる。

写真はかわいらしいお祝いの姉妹。
許可をいただいて掲載させていただきました。

暖かくなってまいりました

 だいぶ春らしくなってまいりました。参拝者の服装も軽めになってきます。ただし、当社ではあまり軽すぎても困ります。道徳的なレベルとして規定を設けています。

 裸足、ジャージ、ノースリーブ、ショートパンツなどは昇殿をご遠慮いただいてます。これに関しては時折参拝者からクレームもいただきます。「なぜ?」「どうして?」 道徳的に考えてみてください。あなたがもし、会社の上司のお宅へ何かお願い事があって出かけるとする。そのとき、あなたはジャージやショートパンツ、素足で行きますか?それで願い事を了承してもらえますか? しかもあなたは神様にお願い事をしに来てるんですよ。と、こんな感じで説明します。

 祈願料も然りです。子どもにお年玉をあげる時でさえ小さな袋に入れたりするのに、まるで商品を買うかのように神様に裸の現金を出すなんておかしいじゃないですか。当社では必ず神前に祈願料を供えて式を行いますので、包んでいただくことを基本としています。

 とにかく服装に関しては、ショートパンツやジャージよりも、ファッション化している女性の素足がダントツに多くなっています。近所のコンビニは夏になるとストッキングや靴下が売れているはずです。あわてて買いに行ってますから。熨斗袋もそうですが、ストッキングや靴下まで神社で売るようになったら、それこそ商売神社になってしまいますよね。日本の道徳は守っていきたいです。