梅便り2/20外伝 増え続ける梅の品種

ここ数日で境内に数本の梅がデビュー。
境内に自宅があり、自宅周りの庭で梅などを種まきしたり接ぎ木したりして苗から育て、ある程度の丈になったところで境内デビューさせてきた。
接ぎ木とは、台木となる野梅や小梅の幹に守るべき品種の枝を接合して育てる方法で、有名な南高梅などもその方法で守られてきている。
今回デビューしたのは接ぎ木の飛梅と実生の飛梅亜種と加賀。梅は品種を守るため接ぎ木が最善の方法。一方種まきによる実生では変化が起きる。つまり、花には他の様々な梅の花粉も受粉し、そして同じ種族故に拒まない。結実した梅の実には様々な梅の遺伝子が入り込み、発芽して育つうちにその特徴が顕われてくる。

飛梅(とびうめ)は、御祭神菅原道真公の死後、京都の旧私邸の庭より一夜にして墓所である大宰府へ飛び移ったという伝説の梅で、現在も大宰府天満宮社殿前にあり、御祭神の御霊を和ませている。それを接ぎ木して京都の北野天満宮へ植樹。さらに接ぎ木で増やし全国の天満宮、菅原神社などへ。当社も北野天満宮よりいただいたものが境内の旧社殿前右側にある。そして今回、名誉宮司が接ぎ木した飛梅が順調に育ち、旧社殿前左側に。そのために移された真榊は迷惑だったかもしれないが、めでたく飛梅が一対になった。ちなみに台木はなんと李(すもも=プラム)の枝を挿し木して根付かせたもの。

一方飛梅の実から発芽して育った飛梅亜種は、たった5年余りで3mに成長し幹も直径7~8センチ。昨年あたりから開花するようになったが、花の数が多いのと白の八重咲きであることは飛梅の特徴。ただし、新たな性質として、①開花が境内のどの梅よりも早い。②花が小柄で花弁が薄い。③成長が早い。この3つが目立っている。特に開花時期が最も早いのは境内の梅にはない冬至梅(とうじうめ)系の特徴。では近所のどの梅かとつきとめるにも、大気中には盆栽の花粉も飛んでいるのだから不可能。そもそも遠い近いもわからない。
こうして実生による株は新品種となり、つまり私が命名しても差し支えはないが、その特徴を守っていこうとするならば接ぎ木をしていかなくてはならないというわけだ。1月に咲いてしまうから、「薄羽睦月」とでも名付けようか。
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梅便り2/14

寒気と暖気のせめぎ合い。ここ数日は3月並の陽気になり、次々に梅がほころんできています。月影もようやく膨らんできました。正確には青軸系緑咢、梅の中でも原種に近い種類です。昨年の大雪で見事にへし折られましたが、造園屋さんに直してもらい、支え木がつけられてからもう1年近くになりますが、今年もたくさんの花を見せてくれそうです。手水舎裏の塒出錦は、まだ数えるほどしか開いていません。神符授与所前の思いのままは三分咲きくらいでしょうか。あくまでも当社の故実による名前で、品種としての思いのままとは違います。若木の頃は咲き分けていたので名付けられたものですが、老木となって中間色のピンクになってしまいました。出世稲荷社脇の山茱萸は梅ではなくミズキ科です。春の様子を伺うかのように少し膨らんできています。合成

梅便り1/19

既に1月も後半。1年の24分の1が経過したと考えると何だかがっかりした気分にもなりますが、その分だけ暖かい春は着実に近づいてきていると気持ちを切り替えてまいりましょう。
今年の梅便りのリポートで、脚立を肩にかけて境内をウロウロ。すると今までにない展開が。参宮橋から鳥居に降りる階段脇の苗木とも言えそうな小さな梅が今年の一番花でした。品種はおそらく小梅でしょうか。少し花弁の先が尖っています。もう少し成長してみないと確定できませんね。旧社殿前の飛梅の樹勢も良好のようで、蕾をたくさんつけています。20150119_105336 20150119_105937

梅便り4/10

楠木の落葉が始まり、毎日竹箒で格闘しています。1日に90ℓの袋で何個も貯まるため、そろそろ市の収集に出すのは限界で、リサイクルセンターへの持ち込みになりそうです。
今年は梅の株によっては大雪の被害を受けて、実の成りが極端に少ない木もありますが、小梅はたくさん結実しています。瑞々しい若葉と膨らみはじめた実のコントラストが春を感じさせてくれます。20140410_100924

吹き溜まりの石灯籠の足元に今年も小さな強者が咲いています。20140410_10160220140410_101222_1箒でなでられたくらいでは傷つかない姫スミレです。近くにはもうアミガサダケが顔を出していました。変な石ではありません。フランス料理ではモリーユと呼ばれ、ポルチーニ茸と共に使わるキノコです。加熱すると弾力が出て口当たりがよく、味も良いです。おそらく日本では、大きくなる前にナメクジやハサミムシなどに食べられてしまうし、見た目の悪さからメジャーにならなかったキノコなのでしょう。