梅便り 平成30戊戌歳睦月29日

53年ぶりの大寒波と2年ぶりの積雪。当社境内の梅も面食らって怖気づいているようです。それでもようやく神符授与所前の思いのまま(鶯宿)、結衣、加賀系の早咲き白梅が数輪ずつ開いています。毎年一番早い鹿児島紅と白梅の枝が絡む金子稲荷前、もう少しで紅白の競演になるでしょう。
今週後半も雪の予報がささやかれています。道端の凍った残雪の上に降ると、ますます滑りやすくなります。くれぐれも足元にご注意ください。

早咲きの加賀と鹿児島紅

神符授与所前の思いのまま

手水舎横 結衣(小梅)

落雪注意

時ならぬ大雪で東京は大騒ぎでした。
境内も20㎝ほど積もり、今朝から慣れない雪掻きです。
当社は社殿、旧社殿ともに北向きで、夜半に銅板屋根から滑り落ちた雪が凍り、旧社殿は開門できなくなりました。まだ屋根に落ちていない雪が留まっています。ご参拝の皆様、正面中央で参拝をお願いいたします。両脇は危険です。

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宮司徒然 其の3「梅の話」 

ここ数日で境内に数本の梅がデビュー。境内に自宅があり、自宅周りの庭で梅などを種まきしたり接ぎ木したりして苗から育て、ある程度の丈になったところで境内デビューさせてきた。
接ぎ木とは、台木となる野梅や小梅の幹に守るべき品種の枝を接合して育てる方法で、有名な南高梅などもその方法で守られてきている。今回デビューしたのは接ぎ木の飛梅(とびうめ)と実生の飛梅亜種と加賀。梅は品種を守るため接ぎ木が最善の方法。一方種まきによる実生では変化が起きる。つまり、花には他の様々な梅の花粉も受粉する。そして同じ種族故に拒まない。できた梅の実には様々な梅の遺伝子が入り込み、発芽して育つうちにその特徴が顕われてくる。こうして梅の品種は増える。  飛梅は、御祭神菅原道真公の死後、京都の旧私邸の庭より一夜にして墓所である大宰府へ飛び移ったという伝説の梅で、現在も大宰府天満宮社殿前にあり、御祭神の御霊を和ませている。それを接ぎ木して京都の北野天満宮へ植樹。さらに接ぎ木で増やし全国の天満宮、菅原神社などへ。当社も北野天満宮よりいただいたものが境内の旧社殿前右側にある。そして今回、当社名誉宮司(父)が接ぎ木した飛梅が旧社殿前左側に。そのために移された真榊は迷惑だったかもしれないが、めでたく飛梅が一対になった。一方飛梅の実から発芽して育った飛梅亜種は、たった5年余りで3mに成長し幹も直径7~8センチ。昨年あたりから開花するようになったが、花の数が多いのと白の八重咲きであることは飛梅の特徴を保持。ただし、新たな性質として、①開花が境内のどの梅よりも早い。②花が小柄で花弁が薄い。③成長が早い。この3つが目立っている。特に開花時期が最も早いのは境内の梅にはない冬至梅(とうじうめ)系の特徴。では近所のどの梅かとつきとめるにも、大気中には盆栽の花粉も飛んでいるのだから特定は不可能。そもそも遠い近いもわからない。こうして実生による株は新品種となり、つまり私が命名しても差し支えはない。ただしその特徴を守っていこうとするならば接ぎ木をしていかなくてはならないから面倒だし、梅も望んでいるとは思えない。それ以前に名前なんて梅には関係ないのだろう。
すべての動植物はスピードこそ違うが、ひたすらミックスされていく。人間も例外ではない。それが自然。だから、極論と言われるかもしれないが、長い長い時をかけて人間も自然にミックスされていき、やがて地球上が一つの人種になって言葉も共有できたなら今ほど争わず対話できるはず。同じ種の生物が殺し合う愚かな行為もなくなるはず。そのためには環境を守り、改善し、地球を長生きさせなければならないと、より多くの人が意識して生活することが大切だと思う。紛争中の国民に言わせれば、平和ボケのぬるい島国ならではの考えと笑うだろう。それでも、かつて我が国が刻んだ愚かな殺し合いの歴史があればこそ、紛争は普通ではないんだと気づいてほしい。地球上すべてに平和が訪れた時、梅たちは慈しんでもらえてるだろうか。それとも、地球上に生物はもう・・・。

(タウンニュース町田・相模原版 コラム掲載日 2015/8/20)

茅の輪と焚き上げ場設置

いよいよ押し迫ってまいりました。大晦日の夕方より斎行される大はらへに向けて、茅の輪も設置され、茅の輪くぐり参加者により点火される焚き上げ場も作りました。某国のミサイル発射実験で不穏な国際関係の今年でしたが、新しき年は平和が戻りますよう願うばかりです。

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草木便り 平成29丁酉歳弥生20日 箱根空木の憂鬱

桜もいよいよ開花の予報日が迫り、待ち焦がれた春本番です。小さな富士桜が1本しかない当社境内ですが、枯れ木のように眠っていた木々の新芽が水瑞しく吹きだして春を知らせてくれます。3年前に鳥居前の階段脇に植えた箱根空木(ハコネウツギ)も目覚めたように芽吹き始めました。ただし残念なのは、紅白の花が咲き分けて美しいコントラストを魅せるハコネウツギですが、東北出身のかたがタニウツギと間違えてしまうことです。タニウツギは全体が薄紫で、東北、特に山形県地方ではお葬式で骨拾いに使う箸の素材にしたりするため、墓地に植えられるウツギで、別名「葬式花」や「死人花」と呼ばれるそうです。遠くから見ると当社のハコネウツギがタニウツギに見えてしまうのか、それともその類のウツギを一括りで縁起が悪いとしているのか、勘違いから境内にふさわしくないと言ってくださる方もいらっしゃいます。私の好きな花ですから、よくご覧になって愛でていただきたいものです。

鳥居改修工事のご報告

このたび防災対策のため、御影石の鳥居の柱だけを残して、笠木と貫を軽量のものに付け替えることといたしました。かねてより3.11に際しての現地の鳥居被害について調べてまいりましたが、石鳥居のほとんどは激震でも柱が倒れることはないということでした。笠木や貫部分は真ん中で繋いであるものが多く、倒壊してしまった例が多かったようです。当社の笠木も中央でつなげているため、数トンの御影石が落下するのは確実だと推測されます。そこで、乗っている笠木と貫部分だけを外して、塩化ビニール製に取り換えることとしました。建ててから50年を経過した当社の鳥居ですが、3.11の震度5強の揺れでもジョイント部分が割れて破片が落ちていました。参拝者の多い時に激震に見舞われたならどれほどの死傷者が出るのかと、想像するだけで恐ろしいことです。工事は3月から4月に予定しています。ご参拝の皆様には少しの間ご迷惑をお掛け致しますが、何卒ご理解をお願い申し上げます。

梅便り 28年12月30日

七五三が落ち着くと瞬く間に年の瀬になるように感じます。今年も残すところ明日一日だけ。明日の午後5時から斎行される師走おおはらへと茅の輪神事の準備も万全です。今日は総代さんたちが三が日用の特設賽銭箱の組み立てを奉仕してくれました。
ちょうど昨年の暮れに当社の梅が早咲きしてしまいタウン誌に報じられましたが、今年はお隣の菅原神社の紅梅が早咲きして報じられていました。当社の梅は背丈が1メートル足らずで鳥居前の階段の傍らでひっそりとたたずんでいます。勿論今年も早咲きでしたが、去年よりも花の数が多いのが気にかかります。地球の環境がますます変わって来ているのではないでしょうか。手放しでおめでたいとも言っていられないのかもしれませんね。

地球が、世界が、日本が、そして皆様の生活が、より良いものになりますよう祈念申し上げます。どうか皆様良いお年をお迎えください。

草木便り 弥生8日

当社の梅は概ねキノコ型です。秋の大祭には100店ほどの夜店が出るため下枝は払います。素人である我々が手入れをするため上に伸びる枝は伐ります。するとキノコ型になっていきます。稲荷社脇の山茱萸(サンシュユ)も、本来は幹の根元からたくさんの枝を出し、通常なら外観はロウソクの炎の形みたいになりますが、梅同様に手入れするためキノコ型になっています。秋祭りで夜店の屋根が当たれば、かわいそうだけど枝を伐ります。
ミズキ科の山茱萸は秋にグミのような赤い実をつけます。これで作った果実酒は薬効があるとされていますが、決して美味しいとは言えません。美味しくないです。花は今が盛期で、よくよく見るとなんともコミカルな形です。この時期は

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しばしお稲荷さんは梅と山茱萸を左右に見ながらお和みいただきます。

一番梅と茅の輪製作

瞬く間に年の瀬ですね。変に暖かい日が多くて戸惑っているのは境内の木々も同じこと。階段の片隅にある背の低い梅が開花してしまいました。実生(種から発芽した木)ですが、花弁が尖っているので、おそらく小梅と早咲きの冬至梅のDNAがあるようです。
昨日は終天神祭を斎行致しました。その前に大晦日の茅の輪を総代さんたちが製作。今年もきれいに出来ました。id-238055331 id-238502133

梅便り2/22

春一番の話も聞かれるようになり、梅の枝をせわしなく異動して蜜をついばむメジロも心なしか機敏になってきたように見えます。神符授与所前の思いのままは5分先を過ぎたあたりでしょうか。毎日のように梅を楽しみに参拝される方がおいでになります。皆さん、さぞ首が疲れるのではないでしょうか。当社境内の梅は見上げなければなりません。目の高さで見られる梅はほとんどありません。これは9月の例大祭があるからです。境内の出店は約100店前後。この狭い境内で迷子が出るほどひしめきます。そのため、梅だけでなく、ほとんどの樹木は下枝がありません。出店の天幕がぶつからない高さに合わせています。ミズキ科の山茱萸(さんしゅゆ)も普通なら幹の根本付近から上方向に枝を伸ばす木ですが、下枝をはらい、しかも真上に伸びる枝もカットするため、全体がキノコ型になっていきます。
例大祭は年1回。木々にしたら迷惑かもしれませんが、狭い神社で生きる木々の定めとあきらめてもらうしか。R0014297 R0014301 R0014308 R0014311